創立50周年記念誌「街づくりと暮らしの創造企業」へ
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19 都市の発展は、新地域を拡大し、再び旧地域の再開発をもたらします。平面市街は立体化し、旧住宅地域はビル、市場、レジャーへと変化しています。その姿はそのまま燃料のあり方を、LPGから都市ガス化されつつあるということでもあります。その度にLPGは新地域を求めさらに外に移動し、都市ガスの工場施設もまた移設されています。 私はときどき町の中に、この移転再開発におくれた広々とした空地を見ることがあります。高層ビルの間に草が茂り、周囲の環境は整備されていながら、この付近だけは蚊やハエが発生しています。土地の値上がりか税金のためか知りませんが、誠に都市の発展を阻害するやからだと、怒りたくなることさえあります。 ふと気がつくと、これは西部ガスの工場跡であることに気がつきます。大衆に奉仕する事業として、なんとか考えなければいけないと思います。また、かつてはLPGの地域であった、と郷愁すら感じます。売るとしても、地価からして住宅がたつでもなし、だれかが買ってビルかレジャーとして商売するでしょう。それなら旧地域再開発のため、自らその事業をやっては、という考えが浮かんできます。 「シティサービス」という名前が満場一致であったことも、自然のなりゆきであったと思われます。 ご存知のように、西プロという子会社は、西部ガスのコークス販売を目的として発足されましたが、その後LPGの進出のため、その防衛対策の業務も付加されました。しかしながら原料転換とともにコークス部門は縮小され、本年度は完全にストップしました。したがって、今後はLPGの防衛から積極策へ前進しつつありますが、これも前述のとおり逐次都市ガスへ切り換えるべき運命にあります。そこで再び都市再開発の一端として、親会社から遊休になった土地の利用に着眼することは、都市ガスの発展に寄与することでもあり、将来ともに親会社と競合することのない事業であると考えられます。ここに「シティサービス」設立の真の意義があります。 今度「ボウリング」が最初に計画されましたことには、いろいろ異論もあろうかと思われますが、目下レジャーからスポーツへということで、その発展は過去とは違ったものとして市民に愛好されることを期待しています。もちろん、不動産、住宅または住宅機器については一応考えられますが、既発事業としてかなり普及し、特に住宅機器については、都市ガスの独占としてセットしうるかという問題もあります。ともあれ今後は、旧都市内にある遊休地には、皆さんのアイデアを充分に取り入れ、いろいろ計画していき、本当に「シティサービス」という会社の名に恥じないように、また一般市民からみても納得のいくような事業を開発し、都市ガス事業のイメージアップに協力する決意であります。 なにとぞ皆さんのご協力を切にお願いいたし、充分にその成果をあげたいと思っています。社名に恥じないように西部ガスプロパン株式会社取締役 総務部長(※当時は西部ガス株式会社 取締役を兼務)和智 午郎1967年 天神 渡辺通り〈提供 : アソシエ地図の資料館〉※引用に際し、読みやすくするため旧仮名遣いを新仮名遣いに改めています。1975年頃の千代交差点〈提供 : 山本魚睡コレクション〉

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